鈴木 謙介(charlie):
文化系トークラジオ Life。今夜は赤坂 TBS ラジオのスタジオから「コロナ以後の『臨場性』を考える」というテーマで、オンラインでできること、やっぱりオフラインじゃないとダメなこと、という話の果てに、やっぱりオフラインじゃないとダメだっていう欲望の背後にある、ある種の暴力性、支配欲あるいは相手に影響を与えたと思いたい欲、みたいなものに注意したうえで、でも対面じゃないとできないことというか。そういう関係にならないとできないことにこの社会が大きく依拠をしているなか、それ全部ひっくり返すとそれこそ教育っていらないですけどってなっちゃうみたいな。学習情報伝達ができるから教育っていらないですけど、みたいなことになっちゃうとかっていう濃い話に落ちたところで、残りの 20 分ちょっとの間に話のオチを付けなければいけないのだが。

オチをつけなきゃいけないタイミングで情報量がいくつもあって、まずめろん先生、このタイミングで著書プレゼントとかの情報突っ込むの、やめてもらっていいですか。もうちょっと早めに言って、もう。

海猫沢 めろん:
はい、僕の新刊『パパいや、めろん』を1冊プレゼントします。

鈴木 謙介(charlie):
めろん先生の子育て奮闘記『パパいや、めろん』。こちら1名のかたにプレゼントということだそうなので、life@tbs.co.jp まで、「めろん先生が本欲しい」ということで、メールをくださったかたのなかから1名様に差し上げますので、住所とかをお忘れなくお書き添えください。

速水 健朗:
今なら『ジャニ研!』も付いてくる。

鈴木 謙介(charlie):
じゃ、「めろん先生と速水さんと矢野君の欲しい」って[メールに書いてください]――もう渋滞してるから! 時間ないところで渋滞してるから、もう。

この段階でようやくあのスタジオに登場。速水さん、すいません。

速水 健朗:
距離感、大事だよ。外からは無理だね。

鈴木 謙介(charlie):
僕がどれだけこの数年間オンラインから打ち合わせに差し込んできたかを、みなさん実感していただきたいと思ってるんですけど。

速水 健朗:
たしかに、charlie 黙ってたわ。

鈴木 謙介(charlie):
わりとね。

速水 健朗:
[charlie は]500 キロぐらい離れてたけど、[僕は]5メートルですら無理。

鈴木 謙介(charlie):
ここまでの話を5メートル向こうの、壁の向こうで聞かれてたと思うんですけど、いかがですか。

速水 健朗:
初期に出てきた話だけど、移動とかスピードとかって近接性そのものじゃないですか。移動してどこに行くとか旅行行くとか。

僕もそれ本当に最初からお家にいなきゃいけないときから、結構3月頭かな、隈研吾(くま けんご)さん、建築家の話で、誰が一番移動する職業かと思ったら建築家だなと思って。今中国行って、現場行かなきゃ仕事ができない人。

「移動とかスピードとかどう思いますか?」って話を聞いたら、「それは全部 20 世紀の初頭にはやったやつで、流線型のデザインとかそれをどうデザインに落としこむかとかっていうのは、全部 20 世紀の初頭にやられているものだから、もういいんじゃないの。」みたいな感じで発想していて、職業ごとに全然発想違うなと思っていて。

いろんな人にその答えを聞くときに、[そういう]答えが返ってきたのが「建築家」だったんだよね。面白かった。

鈴木 謙介(charlie):
移動っていうものがすごく求められる職業であるにも関わらず、「スピードとか、もうそういう話じゃないよ」と。

速水 健朗:
「それもう考えてるんだよね、100 年前に。」っていう。例えば車のデザインがいかに建築に活きるか、みたいなことって、例えば乗り物が出てきての観光とかって全部ね、19 世紀末から 20 世紀の頭ぐらいに出てきたときに、それがどう形作るのかみたいなことって頭でっかちな職業の人たちは当然考えていて、建築家は当然考えていたなっていう。それも「100 年前の話を今さら聞く?」みたいな感じ。

その対処法、アリだな。俺も言われたら、「100 年前に答えが出てます。」って返そうと思う。

鈴木 謙介(charlie):
ちなみに 100 年前の誰が答えを言ってたかまでを言わないと、それ返せない。

速水 健朗:
キュビズムとか1つの絵で正面と横から全部見ている視点とかっていうのを全部解決しようとしてるんだよね、1枚の絵で。という意味では「今さら2次元の話ですか?」ぐらいな感じ。

鈴木 謙介(charlie):
なるほど。移動しながら、あっちとこっちでみたいな話だったりだとか、そこに臨場性があるって話だったりとか、グローバル企業とかってそもそも海外との電話会議はもう何年もやってて、「国内とも電話会議するようになったわ」みたいな「ビデオ会議するようになったわ」ぐらいなんだけどね。

速水 健朗:
今日、本当話したかったテーマって、Zoom ってテレビ電話の技術じゃないですか。メディア史的に実はテレビ電話って常にもう 50 年前から可能な技術なんだけど、1回たりともほぼ普及してなかった。これが Zoom 飲み会とかで普及している理由はすごい興味深いと思うんだよね。何が違うの? 例えば人は「電話飲み」ってしないわけ。電話飲みって聞いたことがなくて。

鈴木 謙介(charlie):
分かんないよ。いくつかの要因に切り分ける必要があって、Zoom 飲みをしている人たちは Zoom 飲みじゃなくてよくなったら勝手に飲みに行ってるから、あれはたぶん代替手段じゃないのかというのが1個と、もう1個は、電話飲みはしないって言われてたんですけど、10 年近く前からだと思うけど、電話繋ぎっぱなしで置いといて、最近だと「寝落ち電話」とかっていうのがありますけど、お互い寝落ちするまで LINE 通話をオンしっぱなしにしといて、かつ会話するんじゃなくてお互いの息遣いとか臨場性を感じるためだけにスピーカーホンにして置いとくっていうのを結構やってたりはするので。

速水 健朗:
言葉としては成立してないよね。

鈴木 謙介(charlie):
言葉の会話をするというよりも・・・。

速水 健朗:
テレフォン・セックスとかあるよ、当然。けど Zoom 飲みに値するテレビ電話でコミュニケーションをして成立したってことって、たぶん 20 世紀の半ばからあったテレビ電話って、1回たりともさ・・・。

永田 夏来:
固有名詞になって共有されたっていうことだね、行動の様式が。

速水 健朗:
この半年で、俺も相当 Zoom 飲み、飽きてるんだけど。

永田 夏来:
え、そんなにやってるんだ。

鈴木 謙介(charlie):
やったことないから分かんない。

永田 夏来:
私もやったことない。

速水 健朗:
え? そういうもん?

鈴木 謙介(charlie):
そういうもんです。

速水 健朗:
近内さん、やってます?

近内 悠太:
何回もありますよ。3人ぐらいで相手もかなりコミュニカティブっていうか、コミュニケーション強者としゃべるだったら、ほぼ普通に面と向かって飲んでると同じぐらいのクオリティーはできますけど。本当に言語偏重のコミュニケーションですけどね。

速水 健朗:
あ、そうか、本当言葉だけ? パロールのみ?

近内 悠太:
「飲み会でよし議論しようぜ」っていうノリのやつと・・・。

鈴木 謙介(charlie):
それのオンライン版ってことね。速水さんが今言ってるのは、Zoom 飲みもそうだし Zoom 人狼(じんろう)とかもそうだけど、ノンバーバルなところがすごく大事・・・。

近内 悠太:
遊び要素みたいな。

鈴木 謙介(charlie):
Zoom 人狼はよく考えたなと思ったもん。

速水 健朗:
あっそう? Zoom 人狼ってやったの、charlie?

鈴木 謙介(charlie):
やってるらしいっすよ。

速水 健朗:
やってるらしいって話は聞く。

永田 夏来:
あとニコ生の生主さん同士がさ、お互いに画面に出てきて人狼をやってたりとかするよね。

速水 健朗:
それは世界に公開するということ? なぜ逆にテレビ電話ってこれほど普及したかったんだろう。何が違う? 画角か?

鈴木 謙介(charlie):
テレビ電話に原因があるというよりは――もちろんその画角の問題とか何とか言い出したら、デジカメはすごい初期から普及したので。デジカメが普及するようになったきっかけって、電話にくっついて写メを送れるようになって、SNS に乗せれるようになったってことからも分かるとおり、技術って単体でその技術的な側面だけ見てもあんまりしょうもなくて。

だって Zoom 飲みができる人とできない人が身体性[の違い]ってきっとあると思うんですよ。ウェブでも話題になってたんですけど、「最近の子は画面をオフにしても会話がよどみなく Zoom でできる」みたいな話があって、僕からすると何に驚いているのかまったく分からないですけど。

一方で「司会の人が “あなたしゃべってください” って言わないと、どこでしゃべり出していいか分からない」って言う人もいるわけですよね。そういう世代の問題。

それから LINE 通話みたいな、かなりの高確率でグループ通話をやっているので、今の子たちっていうのは。そういうのをやった経験がある・なし。

それから代替手段。他にできる手段がないっていうことだったり。あとはテクノロジー的に言うと Zoom だったら URL をクリックすれば入れる。Skype はインストールとアカウントがいる。

速水 健朗:
必要に迫られてようやく使ったっていうのはたぶん Zoom。

鈴木 謙介(charlie):
それはあれでしょ、テレビ電話で言うんだったら、「普及しない」の前に1個普及したのは、おじいちゃんおばあちゃんが孫の顔を見るのに SKype をめっちゃ覚えたってのがあって。結構 Skype 使える高齢者は多いんですよね。結局必要に迫られて、かつ解像度が上がると何とかして覚えると、人は。

速水 健朗:
そうか、必要があればやるってのはある。

鈴木 謙介(charlie):
電子マネーと一緒ですよね。お金触らなくていいから電子マネー入れるようにしたみたいなのと一緒で。

速水 健朗:
けど、一向にそこは普及してないじゃん、この半年でも。

鈴木 謙介(charlie):
電子マネーの決済額はたぶん増えているはずで。普及率っていう意味で増えたかどうかはちょっと微妙ですけど。

速水 健朗:
これだけ金掛ければさ、PR とかさ。

鈴木 謙介(charlie):
それ言い出したら Zoom 飲みも僕のあの周りでは、とんと聞かない。少なくも僕自身にはほとんど起きていないので、もしかするとそんなはやってないかもしれない。ごく一部とリア充だけの話なのかもしれない。

永田 夏来:
顔を出してビデオチャットをするのに抵抗がない側の人とある側の人っていうのはいる気がするよね。若い子たちは写真を撮ってすぐ自分で見るとか、あるいは自撮りをするっていうことに、プリクラが発端ぐらいで慣れてるから、自分の顔を見ながら話しするっていうことに対してわりと大丈夫寄りの人と・・・。

速水 健朗:
写真論的に。

鈴木 謙介(charlie):
あと、盛れないからダメっていう人もいる。

永田 夏来:
他方で無理無理っていう人はまず画面に自分の顔が映ってるのにも耐えられないと。だからビデオ通話自体が非常にハードル高く思っちゃうっていうところはもしかしたら・・・。

鈴木 謙介(charlie):
ルッキズム的なところもあるでしょうね。僕なんかも Zoom 的な画面で会議してたら自分の顔しか見てないですから。

永田 夏来:
私もそうだけどね。

速水 健朗:
研究結果でそうらしいよ。

永田 夏来:
やっぱそうなんだ。

速水 健朗:
みんな人の顔を見るよりも自分の顔を見てしゃべるほうが慣れてる。

永田 夏来:
それでワイプ芸がどんどん磨かれちゃう。

鈴木 謙介(charlie):
人の顔とか見るのこわいし。暴力性で言うんだったら画面に映ってる人の顔のほうがはるかに暴力なので。だってアップだしさ、距離感ねーしさ。

速水 健朗:
避けられないよね。

鈴木 謙介(charlie):
うんそうなんですよ。

速水 健朗:
ミュートみたいな。

鈴木 謙介(charlie):
画面をミュートにさせてほしいんです、俺とりあえず。自分の声をミュートじゃなくて、今しゃべってるこの人の声をミュートにしたいみたいなことも多々あるので。

速水 健朗:
人と直でしゃべってるとき、そんな人の顔を凝視してないっていうね。

永田 夏来:
しないよね。

鈴木 謙介(charlie):
音声も結局、多様多々ノイズがあるとスルーできるんですけど、耳にイヤホン突っ込んで画面に大写しになってたらスルーできないから。そういう意味では対面よりはるかに暴力的だったりする。

速水 健朗:
それをどうスルーするかで Zoom 飲みできる・できないっていうのあるかもね。

鈴木 謙介(charlie):
――みたいな話は、たぶんね本当にこれからどんどん掘り下げられてはいくとは思うんですけれども。

個人的には今起こってることって、さっき代替、代わりっていう話しをしましたけれども、このあとどうなるかによって定着なのか一時の流行なのかがやっぱ大きく分かれるような気もするんですよね。定着するときにはもっとマイルドじゃないと。つまりすべてのことって普通の人が普通にできるものじゃないと定着しないので。今は Zoom 飲みしたい人用にすごいハードな Zoom 飲みが提唱されていて、もうちょっと何か違うものになっていくのかもしんない。

と思うのは、飲料会社の CM とかの Zoom 飲みとか、キャンペーンの Zoom 飲みって派手なんですよね。

速水 健朗:
何会社?

鈴木 謙介(charlie):
飲料会社というか、いわゆるお酒メーカー。

鈴木 謙介(charlie):
お酒メーカーとかですと、タレントさんをキャンペーンに起用して「みんなで乾杯しましょう」みたいな、「ザ・飲み会」なんですよ。つまり飲み会苦手な人が避けたかった飲み会をいかにしてオンラインで再現するかっていうのに腐心していて。これはそういう人にしか定着しない。

速水 健朗:
そういう人たちはもう普通に飲みに行ってるよね。

永田 夏来:
定着なのかどうかっていうのは普通に飲みに行けるようになっても「やっぱり Zoom 飲みがいい」って思うかどうかってところはあるだろうね。

速水 健朗:
あえて Zoom 飲みっていう。

鈴木 謙介(charlie):
場合によっては同窓会はやりやすくなるとかっていうのもあるだろうし。

今ちょっと Zoom 飲みに寄せすぎたんで、あと5分ぐらいしかないなかで、Zoom 飲み以外もっていうのであれば、個人的に僕 Zoom エンタメの話をしたくてだな。

Zoom 演劇みたいなものだったりとかもそうだし Zoom 落語もそうだし、たぶん Zoom っていうツールに今寄せすぎてるけど、オンラインでいろんなツールを使って、新しい臨場性が勝手に生まれちゃったものを含めて。

速水 健朗:
三谷幸喜と東京 03――。

鈴木 謙介(charlie):
あれは良かったですよね。

速水 健朗:
東京 03 の話はめちゃめちゃしたいんだけど、普段やっているライブ――チケットが手に入らないやつなんだけど――それをそのままオンラインで置き換えたんだけど、あれの予告編がめちゃめちゃ面白くて。本編よりも全然予告編が面白くて。

みんなでアルフィーの「メリーアン」を歌うんだけど、めちゃめちゃずれてるっていうやつを、いきなり一発で――簡単なはずなんだけど――わざとずらすってめちゃめちゃ難しいことを、普段からもちょっと外れているって面白い。「いいよ、俺が合わせるよ」っていう感じで合わせて外れるっていう。あれが本当に面白くて。

鈴木 謙介(charlie):
そういうことが本当に「できるんだな」って感じありますよね。

速水 健朗:
「ネットだから外れるんでしょ」っていうのを超えた面白さみたいなものをやるのって、すごい身体性だなと思って。

鈴木 謙介(charlie):
すぐにズレっていうものを別の臨場性として解釈して提唱できるっていう。

速水 健朗:
そういうこと、そういうこと。うまく解説してくれるのは charlie の能力だよね。

鈴木 謙介(charlie):
同じことを僕予告編の打ち合わせでも言ったんですけど、カーリングシトーンズという奥田民生さんたちがやっているおやじバンドがございまして。YouTube が最高なの。50 過ぎのおじさんたちが、バンド始めた中学生みたいな会話してるだけなんですけど。

速水 健朗:
俺もそれもハマった。緩いんだろなと思って、奥田民生だから。当然緩く来るんだけど、こっちの想像をちょっと超えた緩さだよね。

鈴木 謙介(charlie):
ぐだぐだのギリギリ手前。そこでしかもだんだん慣れてくるのね、そのぐだぐだに。こっちが慣れてくるっていうのもあるけど、最初は「ガッツだぜ!!」をみんなで合わせようって言って、Zoom だからずれてるので1回イヤホンを外してみんなで「せーの」で再生ボタンを押して、それに合わせて自分のパートを弾こうっていう意味の分からない番組で。

「ジャンジャカじゃん、ガッツだぜ!!」って言って、[曲が]終わって止めて、斉藤和義さんが一言「自分が何を弾いてるのかも分からない。」。そうだろうなと思ったんだけど、だんだんその Zoom バンドが合ってくるのね。すげーな、やっぱり、と思って。

永田 夏来:
やってるうちにどんどん修正するっていうのはあるよね。

鈴木 謙介(charlie):
プロの人たちは今そういう「オンライン身体性」「オンライン臨場性」に慣れてきてる節があると思った。もしかすると僕らが想像するよりも早く、「こっちのほうがいいかも。」と作っちゃう人が出てくる気はした。何だったらそうなりかけている分野はあると思うし、逆に僕がやってる教育とかもそうだけれどもそろそろ「オフラインかオンラインか」「旧か新か」じゃなくて、自分がやりたいことを一番正しく表現できるやりかたをそろそろ新しく発明していくところなんじゃないのという気もしておりますが。

ただこの話をして今気付いた。はて、ラジオは? ラジオってなんかずっと前からこの感じだったしな。

永田 夏来:
でもそれこそ Life こそ、放送とインターネットと両方やってるわけだから、ある意味リモートにかなり先駆的に取り組んでるじゃないの。

鈴木 謙介(charlie):
僕の身体性は今成長していて、最初このアクリル版に感じていた壁感が今は全然ないですよ。耳が良くなってる。そして次[の回を]やるとめろん先生ぐらいの距離まで同じ距離感で飛ばせる。めろん先生はちなみにスタジオの端っこにいるんですけど。次の回の後半ぐらいになってくると今野村さんがいる壁の向こうまで、たぶん僕が届くようになるんですよ。

速水 健朗:
野村さん、何かしゃべって。

野村 高文:
ここからしゃべるのってまだ僕の身体性だと Zoom でしゃべってるのとそんなに変わんなくて、スクリーン越しでみなさんを見てしゃべってるようなものなんですよね。

鈴木 謙介(charlie):
その感じに慣れてくると、そのうち状況がもっとシビアになってきてここに1人しか入れないってなったら――一部の大学でやってましたけど――画面がここに 10 枚ぐらいに並んでて、全員が顔出しでここに1人ずつ映ってるやつを見ながら僕ができるようになるかもしれない。

速水 健朗:
見てる側のリテラシーみたいなのってあって、最初にテレビの番組とかでみんなが Zoom の画面から出てくるみたいな演出ってすごい増えたけど、あれなぜか一瞬で飽きるっていうか、1週間ぐらいで飽きちゃったんだよね。やってる側はたぶんうまくなるのと、見てる側がそこに面白くなっていくかどうかまた別だから。

鈴木 謙介(charlie):
それはフィードバックの問題で、YouTube とかネットで配信している人たちってそこで瞬時にアテンションを獲得しないと、視聴者が目に見えて減っていくみたいなことだったりするけど、テレビの場合はそういうリアルタイム・フィードバックを見ながら修正ができないので、「どこでウケなかったか」みたいなのが、それこそお笑いの現場で「あ、これ滑ったな」っていうのが分からないままネタを続けるような状態になってしまうと。

これがオンラインだとオンラインなりのリアクションがあって、そこから何かを引き取るっていうことができるなって話をしたところで・・・。

速水 健朗:
ちょっともう一瞬話挟んでいいの、これ?

鈴木 謙介(charlie):
いいよ。

速水 健朗:
政治って話、今日はあんまりしてないと思うんだけど、なんとか選やってるじゃないですか、都知事選みたいなやつ。今回完全にオンラインに特化してやっていて。けど実際、街頭でやってるんですよ。ブラック・ライヴズ・マターもそうだけど、政治ってやっぱり本当に距離なのでそれこそ握手した回数とか目の前でスピーチやってるやつの唾が飛んでくる距離で聞くとかって、グーって引き込まれるところがあって。どの候補者か言わないけど、[街頭で]やってると「あ、ここすごい掴んでるな」っていう、やっぱりデモとかやるときの身体性みたいなものって今メチャメチャ強調されているだろうな。

鈴木 謙介(charlie):
という話はできたら外伝であの #ムーブメント と一緒にしゃべるかもしれないですが、最後に近内さんに振り戻さなきゃと思って。あと1分、2分ぐらいしかないですけど。

今日の感想みたいな感じなんですけれども、最初はご著書の話から掘り下げていったみたいなところがありましたが、そこからまさにご著書ではあんまり触れていなかったように見えて実は書かれている、暴力性だとか、思わぬものが伝わってしまうって話になっていくわけですけど、今日はいかがでした?

近内 悠太:
今日こういう話をするときに、「オンラインかオフラインか」みたいなときにまだ僕結論が全然分からないなと思ってたんですよね。みなさんとお話して少し自分がみなさんとどう違く感じてたのかなっていうのが、改めて少し見えてきたので。今日「これだ」って結論が出せないですけど。

たぶん外伝でも少し出てくるのかなと思うんですけど、場っていうのが「思わずそこにいること」で引き寄せられてしまう、出合ってしまうっていう暴力性ってどっか僕はそこに惹かれてるんだなっていうのが。

今日臨場性を味わうためにわざわざスタジオまで――最初「[スタジオに来なくても]オンラインでも大丈夫です」って言われてたんですけど、「いやスタジオに行かしてください」って言ったのは、やっぱり臨場性を僕は求めてしまっていて。でもそこに危うさっていうのは当然あるので考えていかなきゃいけないなっていうのを改めて感じました。

鈴木 謙介(charlie):
残り 50 秒でどうやって締めようかな。本日の放送がラジオクラウドでも配信していきますので、「Life954」ぐらいで検索すると出てくると思いますので。TBS ラジオのホームページから検索でアクセスしてくださればと思います。

次回の放送なんですけど今のところ、8月 30 日(日)の深夜の予定となっておりますが、まだ調整中なので決定次第、テーマも含めて予告編になると思いますけれども、公式 Twitter のほうでね、「今から予告編やります」みたいな感じで前の週か、前々の週ぐらいに配信していきますので、ぜひそちらのほうもチェックしていただければと思います。

というわけでね、本日は永田夏来さん、そして近内悠太さんをゲストにお迎えしてお届けしました。「コロナ以後の『臨場性』を考える」。文化系トークラジオ、お相手は鈴木謙介でした。それではまた次回お会いしましょう。

〔Part 5 はここまで〕