出演者(登場順)
・鈴木 謙介(charlie)
・速水 健朗
・斎藤 哲也
・宮崎 智之
・矢野 利裕
・野村 高文
・ササキ ミチヨ
・長谷川 裕 P(黒幕)

* * *

charlie:
文化系トークラジオ Life。今日はコロナ下のなか、予告編を――いつもはスタジオで撮ってているんですけれども――初めての試みでビデオ会議を今、画面でみなさんの顔を僕は見ながら初めてこの形で司会をしているんですけど。人が聞いているかどうか分からないという状況はちょっと不安になったりしますね。

というわけで、文化系トークラジオ Life、今日は6月の放送の予告編、これから始めていきたいと思っております。

今の僕の目の前の画面にいる人たち、ちょっと紹介していきましょう。あえて「隣り」と言います。僕の隣りにはサブパーソナリティー、速水健朗さんです。

速水 健朗:
よろしくお願いします。

charlie:
速水さん、前回はスタジオからの司会ということで、どうもお疲れさまでした。

速水 健朗:
charlie もお疲れさまでした。

charlie:
[僕は]声を潜めてやりましたけれども。

速水 健朗:
文化系トークラジオ Life の強みの、「大勢でガヤガヤ」っていうことができないということに向き合わなきゃいけないっていうラジオでしたけどね。

charlie:
密な番組から密を取り払うってなかなかシビアな状況でしたけど。今月は少しは状況変わりそうですけれども、まだまだいろいろと気を付けなきゃいけないところもあって、速水さんにお世話になるかと思いますけど、とりあえず予告編よろしくお願いします。

そしてですね、その下――「下って何だったんだ?」っていう話なんですけど――僕の画面上ではその下です。同じくサブパーソナリティー、斎藤哲也さんです。

斎藤 哲也:
こんばんは、よろしくお願いします。

charlie:
誰がどこで振られるか分からないでしょ。

斎藤 哲也:
見てる画面違うからね、みんなね。

charlie:
斎藤さんも前回はスタジオの外から参加するという不思議な形態――。

斎藤 哲也:
不思議な感覚でしたね、あれはね。

charlie:
今回もどういう形での参加になるか分からないですけど、予告編、お願いします。

斎藤 哲也:
よろしくお願いします。

charlie:
そして僕の隣り。隣りって誰だ? いつもおなじみです――今笑い声も聞こえました――ライターの宮崎智之君です。

宮崎 智之:
よろしくお願いします。

charlie:
宮崎君、この場で先に発表する?

宮崎 智之:
例のプライベートの件ですか? オンライン・イベントでも発言させていただいたんですけども、5月8日に第1子というか男の子が――。

charlie:
おめでとうございます。

宮崎 智之:
ありがとうございます。

charlie:
拍手しなきゃ、拍手。

宮崎 智之:
ありがとうございます。[拍手を]自分でやっちゃったけど。

それにまつわるコロナ下の状況だったので、リモートでしか会えなかったりとか思うところがあったりするところを前回のイベントで述べたんですけど、また今回ももしかしたらそういう話になるかなっていうふうに思ってます。

charlie:
この状況で人生が大きく変わるっていうこと自体がすごい大きな意味を持つと思います。引き続きパパになっても、Life で面白い話を聞かせてもらうと思います。今日はよろしくお願いします。

そして僕の1つ下にいるのは、ライターの矢野利裕君です。

矢野 利裕:
矢野です、よろしくお願いします。

charlie:
矢野君は僕と一緒で教育業界にも携わっているわけですけども、この状況でラジオと同じぐらい大変というか。むしろラジオになっちゃってるんじゃないか、教育も。というところがありますけど、どうですか?

矢野 利裕:
もう音声撮ったり、動画撮ったり、ラジオ、1人でやってるような感じで。僕自身は楽しいですけど。

でもいつもと関係性が相当変わってくるので、それに対しては Life のツイキャスのときにも喋らせてもらいました。記事にも書いたりして。その話ができたらいいと思ってます。

charlie:
はい、よろしくお願いします。

はい、そしてさらにその1個下に――って誰のことだか分からないですよね。前回 Life では NewsPicks と関係を持って、出演者をクロスしたりとかもしたんですけれども、今月も NewsPicks からいらしていただきました、編集者・野村高文さんです。

野村 高文:
よろしくお願いします。

charlie:
イケボだ。前回は速水さんと2人でスタジオでしたけれど、TBS では何度もスタジオにいるとはいえ、異様な状況でしたね。

野村 高文:
そうですね。Life に初登板させていただいたんですけど、いきなりすごい緊急事態下でという感じでしたね。

charlie:
こっから新しいの始まるぞって言ったら、別の新しいことが始まってしまいましたけれども、今月も引き続きよろしくお願いします。

野村 高文:
よろしくお願いします。

charlie:
そしていつも Life の写真を撮ってくれていたり、差し入れをしてくれたりしているササキミチヨさんも今日は画面のなかに、僕の斜め下にいるんですよ――その位置で言われても分かんないですよね。どうもです。

ササキ ミチヨ:
はい、こんばんは。

charlie:
今日も打ち合わせのなかでもいろんな話が出てました。コロナで生活が変わるなか、さっき宮崎君が子どもに会えない話もありましたけど、ササキミチヨちゃんも、ご家族に会えなかったりとかって話をされてましたね。

ササキ ミチヨ:
そうですね、家族が入院してしまいました。県境を越える移動ができなかったので、会えないまま今に至っています。

charlie:
人との関係をいろいろと考えるっていう話をこのあとのテーマで掘り下げたりしますけれども、また何かエピソードがあったら教えてください。よろしくお願いします。

ササキ ミチヨ:
はい、お願いします。

charlie:
そて最後はこの番組のプロデューサー・黒幕、長谷川裕が――あの足元に犬がいる。

長谷川 裕 P(黒幕):
ルークちゃんがさっきだいぶ出てきてたけど。今ソファーでくつろいでいるので、時々声が聞こえたりするかもしれませんがよろしくお願いいたします。

charlie:
鳴き声が聞こえたら、黒幕のところから鳴いているか、もしかすると宮崎君かもしれない。

宮崎 智之:
はい、僕のワンコは今ふて寝しておりますので。

charlie:
構ってもらえないから?

宮崎 智之:
そう。

charlie:
こう、おうち感とか、それから人に会うとかって話、今日のテーマになるんですけれど、まずはその前に、前回の Life 振り返りをしてみたいと思うんですけれども。

前回、振り返る資格があるのは、速水さん。初の総合司会としてやっていただきました。

前回のテーマが『コロナ下の「新・日常」を生きる』ですけれど、ベストメール、いきましょうかね。

速水 健朗:
そうですよね、ベストメールを読むところからいきたいと思います。えーと僕のパソコンが今立ち上がる――。

長谷川裕:
大丈夫。僕のほうから、とりあえずベストメールは僕のほうから――。

速水 健朗:
大丈夫。ありますあります。これ2つあります。

長谷川裕:
長いほうは適当にはしょっていただいて。

とりあえず、ラジオネームをお2人発表していただくということで、前回、2020 年5月の頭の放送にあった、『コロナ下の「新・日常」を生きる』のベストメールは――。

速水 健朗:
きなこ棒さんと、そしてもう1人が嘉島唯さんです。おめでとうございます。

charlie:
拍手の音とか入る。

速水 健朗:
はい。軽く[要約して]読むのが難しいですけど、きなこ棒さんは予想以上に人はすぐに忘れてしまうという内容でメールをいただきました。いろいろあったことを覚えているんだけど、「あれ、4月の頭って何やってたっけ?」っていうね。今は「動物の森」にはまってるんだけど、その前が思い出せないっていうメールいただきました。コロナ下でみなさん、おうちにいる。日々日常的な変化がないなかでの、何があったっけ? ていうのを忘れがちだっていう話。

嘉島唯さんは、東日本大震災のときとの違いみたいなことを話していただきました。ネットの分断の[放送の]ときもあったけど、あのとき[=東日本大震災のとき]との違いみたいなことを、同じ分断でも、あのときはレベッカ・ソルニット――。

charlie:
『災害ユートピア』。

速水 健朗:
災害ユートピアみたいなものがあったんだけど、今回発生しないみたいな話も放送内でしましたが、そのきっかけになったメールだったということです。

charlie:
はい。ということでおめでとうございます。バッジのほうをお待ちください。

長谷川裕:
嘉島唯さんはね、プロですからね。

charlie:
有名なライターさんですからね。いろんなところで文章を書いてますけれども。話題になる記事を書いてたりしてね。

長谷川裕:
きなこ棒さんのほうもベストメールということで、ベストメール・バッジを2人ともお送りしますので。

charlie:
はい、ありがとうございます。

さて、4月なんかは緊急事態宣言っていう、まさにコロナ下だったわけですけれども。

5月の、毎年奇数月のときはそれこそ密なイベントをやっているわけですけれども、斎藤さんこれ、オンラインだったんですよね。

斎藤 哲也:
そうですね、5月 31 日(日)にですね、オンラインでツイキャスでやりました。テーマは本放送の延長ということでやりました。久々の人が来てくださって、森山さんが来て――。

charlie:
編集者の、Life の初期によく出演されていた森山裕之さん。

斎藤 哲也:
はい、あと清田[隆之]君が来て、常見[陽平]さんもワンポイントで。常見さんは子育てしながらどこかの駐車場から参加してくださったという。

charlie:
かっこいい。最先端感あるなあ。

斎藤 哲也:
そういう、リモートなイベントをやりました。

charlie:
どうでした、やってみて?

斎藤 哲也:
テクノロジー的な問題はまだまだたくさんあって、音が非常にワウワウしたりだとか。でもだんだん課題が分かってきたので、次回もしこういう感じでやるとしたら、もう少し改善できるかな、というふうに思ってます。

charlie:
はい。もしかするとオンラインでイベントをやるみたいなことに、見る側もやる側もだんだん慣れていくっていうのはこの4月、5月なのかもしれませんね。

実際2回、3回と配信をするたんびに機材がちゃんとしていく配信者とかだいぶ見ましたからね。我々もきっとそういう感じでアップデートしていくでしょう。

長谷川裕:
[5月の]イベントの翌週にお茶会と称して、女性パーソナリティーたちで別のオンライン・イベントも――。

ササキ ミチヨ:
はい、やらせていただきました。#lifeお茶会 です。

#lifeお茶会 – Twitter Search / Twitter
https://twitter.com/hashtag/life%E3%81%8A%E8%8C%B6%E4%BC%9A

宮崎 智之:
聴いてました。

ササキ ミチヨ:
ありがとうございます。一応女性を中心にという感じで。どうしても Life、男性のかたが多くなってしまうので。女性を中心に倉本さおりさん、永田夏来先生、Life 助手だった村山佳奈女さんと、Life のイラストを前に描いてくれたりしたスズキロクさんと、私ササキミチヨで、お茶会をやりました。

長谷川裕:
こちらのほうが、テック的にも、テクノロジーの使いこなしかた的にも、非常にレベルが高くてですね。斉藤さん仕切りのものは実際に音声がちゃんと出るまで 30 分ぐらいの予定時間を過ぎる体たらくでしたけども。

お茶会のほうは、時間通りしっかり始まって、非常に聴きやすい。

charlie:
素晴らしい。

ササキ ミチヨ:
イラストの設定、ツイキャスでやったんですけど、ツイキャスにロクちゃんが描いてくれたイラストを設定したりとか、頑張りました。

charlie:
斉藤さん、ノウハウをちゃんと引き継いでくださいね。引き継ぎ会してくださいね。

ササキ ミチヨ:
今次のお茶会の話もしてるので、またフワッとやると思いますので、みなさんよかったら聴いてください。

charlie:
はい、ありがとうございます。

という感じで、4月も5月もコロナ下でも、なんとかかんとか営業しておりました、文化系トークラジオ Life でございます。

6月もちゃんと放送しますということで、6月の放送が6月 28 日、来週の日曜日の深夜ということになるんですが、もうテーマから発表してしまいましょう。

来週ですね、6月の文化系トークラジオ Life のテーマ「コロナ以後の『臨場性』を考える」。ということで、「臨場性」という新しい単語が出てきて、なんやねんって。

「臨場感」という言葉は聞いたことがある人も多いと思うんですけど。「臨場性」って何だっていうところからちょっと軽く説明をさせてください。

臨場感っていうのを論文なんかで読みますと、要するにそこに人がいるような感じを与えるっていうのが臨場感っていうんですね。例えばスポーツの試合の会場で観客がワーッてなると臨場感がありますよね。でこれを例えば大画面テレビで大きなスピーカーなんかを設計して、スタジアムにいるかのような歓声に包まれるとやっぱり臨場感があるというわけで。どういうふうな、その音響とか映像とかのメディアの設計をすると、そこに人がいるように感じられるのか、なんていう研究からこの臨場感の研究って始まってるそうなんです。

これを僕はゼミなんかの研究をしているなかで、学生たちと議論をして生み出したのが「臨場性」っていう言葉なんですけれども。

すごいざっくり言うと、そこに人がいることっていうのが臨場性です。臨場性っていうからには本当にそこに人がいるっていうのもそうだし、本当にそこに人がいるように、設計されていること、つまり臨場 “感” っていうのは自分が感じることだけど、そういうのを感じさせるような何かがあることってのを臨場性というふうに言うことができるんじゃないかなと思っています。

さらに言うと、この臨場性っていう言葉を巡っては、精神科医の斎藤環さんが精神分析の枠組みを用いながらブログに、人が人と対面することってある種の暴力性を伴うだよっていう、そういう精神分析の枠組みで解説をされたりしていたんですけれども。今日はそういう難しい話の少し手前の話をしようと思っています。

つまり「人がそこにいる感」っていうのがこのコロナ下のなかで感じられないことって多かったですけれども、一方で例えば人がそこにいない、まさにオンラインの状況だからこそよかったことっていうのももしかするとあるかもしれないし。それからオンラインの画面のなかなんだけれども、例えば昨今話題の Zoom 飲み会のように、そこに人がいるような感じで一緒に飲める、みたいなものなんていうのもありますよね。

いろんな臨場感を感じられる設定、つまり臨場性というのがあると思っていて。もしもコロナが収束してそれこそ会えるよってなってからも、「いや、もうこれは別に会わなくてもいいじゃない?」っていうものが出てきたかもしれないし。もしかすると、「いや、もうこれはどうやっても会わないと無理なやつだと気が付いた」、なんていうものもあるんじゃないかと思っていて。

今日はその「人がそこにいる」っていうことによって、得られたもの・なくてもよかったものを掘り下げていこうかなと思ってるんですけども、まずは、矢野君。まさに教育の現場というのは臨場性で成り立っているような気がするんですけど、今授業ってどんな感じなんですか?

矢野 利裕:
学校によっていろいろだと思うんですけど、僕は私立の中高一貫校で、ぼちぼち分散登校っていう形で、例えばこの日は何年生が来るとか、この日の午前中は何年生で、午後何年生が来るとか、そういう形でいろんな区切りかたですけど、密集させないっていうことを考えながら登校。

でももっと早い学校再開も通常通りしてるって学校もちらほら出始めていて――自治体とかあの学校によって違うんですけど――そういう状況ですよね。

そのとき考えるのは、これまでの授業って――僕なんか特にそう思ってたふしがあるんですけど――同じ空間と時間を共有してまさに臨場性のなかにいることによって、授業をやってきたみたいな。そういう身体感覚とか発想とかがあったから、それがオンラインになったことによって、そこが切断されるっていうところに対して戸惑いがあったり。でも逆にやれることがあったりとか。だからいろんな局面で、今みんな探り探りって感じですね。

charlie:
対面する教室を設計してきたのが教育だったから、僕もいろいろと苦労はしていますけれども。

野村さん、今、臨場性って話をしてますけども、メディアに関わる人間としては臨場感をどうやって視聴者というかリスナーとか、そういう人たちと共有するかっていうのも大事なテーマでした。今回このテーマ、どんな感じで受け止められてます?

野村 高文:
まず個人的な話をすると、わりと楽だったなっていうのがあって。取材活動そのものは思った以上にオンラインで完結するものが多かったなっていう感じはあったんですね。

ただ一方で会社組織っていうところで言うと新人とか若いあの社員が困ってたなっていうのがすごく印象的で。暗黙のうちに組織のなかに共有されてる何かっていっぱいあるじゃないですか。

charlie:
微妙なルールですね。

野村 高文:
微妙なルールですね、はい。締め切りを1日破ったら怒られないけど、2日破ったら怒られるみたいな――。

charlie:
むずいな。

野村 高文:
――暗黙知が組織にあると思いますけど、そのあたりで空気を感じるっていうのが、若い社員は困ってたなって感じだったんですね。

charlie:
僕ら教育の場面で言うと、暗黙知が逆に形式知つまり「締め切りは守れ」に統一されたことで、めちゃくちゃ真面目に授業を受ける学生増えたんですけど。

野村 高文:
すごいいいことですね、それ。

charlie:
新入社員的にはどうですか?

野村 高文:
新入社員的には、オフィシャルに線を引かれたところっていうのをきっちり守ろうとしてるだろうなっていうのは感じますね。

charlie:
それはでも組織的にはいいことばかりではない?

野村 高文:
まず型を身に付けるっていうのはすごくいいと思うんですけど、100% いろんなものを 100% 全力でやっちゃうと、キャパオーバーになっちゃうことよくあるじゃないですか。抜きどころとそのそうじゃないところっていうのを、私自身というか今までのオフラインのコミュニケーションでは、みなさんの空気を読んだり、先輩の動きを見ながらそれを身に付けてきてたんだなっていうのが改めてよく分かったっていうところですね。

charlie:
僕らも本当に学校では同じようなことを議論してますけど。

速水さん、会社組織の話で言うと、この番組でも何度かそれこそ社内バーを作るとか、そういうまさに非公式なコミュニケーションの場をあえて作ることで、会社が活性化するなんて話、何度か速水さんもされてたと思うんですけれど。

速水 健朗:
はいはい、そうですよね。人が何かをやるタイミング、モチベーションを上げるためにって、いろんなきっかけがあって、それって操作されてきたというか。いろいろみんなこうやったらモチベーション上がるよねって考える。

例えば会社のなかにバーを作るとか、みんなコミュニケーションの場を作るために、タバコ部屋じゃない遊び、プレールームを作ったりとかっていうことがあったと思うんだけど、そういういわゆる場所の話で言うと、例えば僕の仕事なんかも、いかにモチベーションを上げるかみたいなことってそんなに意識してなかったんだけど、例えばどっか取材に出掛けるときの場所の移動とか原稿を書くときとかも取材するわけで。人との対面であるとか、そして催促とかね。怒られるっていうのもモチベーションだし、仕事後の一杯みたいなものもあるし。仕事後の一杯のあとに夜の風に吹かれて街を歩くみたいなものも全部セットだったのに、全部モチベーションになるものが全部奪われたなかで、ひとり部屋のなかでもくもくと仕事をするっていうことね。

最初は僕も平気だと思ってたんですよ、わりと。「俺、もともと引き篭もりたい人だし。ずっとやってるし。」と思ったんだけど、それが1ヶ月、2ヶ月と続くとですねっていう話で。全然効率悪くなってるなみたいな。じわじわ翼をもがれていたことに気付くみたいなね。

charlie:
斎藤さんも一緒ですか?

斎藤 哲也:
いや僕はもともと引き篭もりっだったから、むしろのびのびやれたって感じなんですけど。

でもさっきの企業の話で、ある広告代理店の人とそんな話をしてたときに言ってたのは、リアルな社内バーの代わりにオンラインで焚き火みたいなのを置いて――。

charlie:
あるあるあるある!

斎藤 哲也:
――そこに会社が終わったあと、誰でも来て、何かその・・・。

charlie:
あれでしょ、画面に焚き火を映してて、その焚き火が全画面になってるところにみんな Zoom で集ってるんでしょ。

斎藤 哲也:
そうそうそう。

宮崎 智之:
キャンプファイヤー?

斎藤 哲也:
「そういう工夫をしてるんだよ」みたいにね、話を聞いて、「ほう、そうなんか」っていうふうに思いましたね。

charlie:
人に説明しづらい感じの、人と集まる場を設計した話を本当にいろんな人が自分なりの経験をしたと思うし、僕も自分と学生との間でいろんな形でそういうのを経験しましたけれども。

宮崎君、組織とかほんとに学校とかそういうオフィシャルな関係性で言えば、まさにその「会うな」って言われていることをどうにかして、会って当たり前にやっていたことを代替するかっていう話だったんですけど、さっきお子さんの話もありましたけど。

この時期、対面っていうことであれば、親しい人とか家族とか、そういう人こそ相手のことを気遣って会えないっていう状況ですよね。どうでした?

宮崎 智之:
まあそうですね。具体的に言うと、3月の緊急事態宣言とか外出自粛要請とかが始まる前に妻は大阪に里帰り出産で移動して、そのあと僕もちょいちょい往復したりリモートしながらっていうことだったんですけど、それが一切3ヶ月近く出産後も、出産直前も会えなくなったということで。まあ特殊な状況だったのかなとは思うんですけれども。やっぱりその生まれたあと、どうしても僕は[子どもを]見たいですよね。

charlie:
子ども、見たいよね。

宮崎 智之:
見たいですね。あと妻にも感謝を伝えたいとか、いろいろあるなかで、東京から大阪に移動することが是か非か。これは社会的な問題と、あとは彼の妻と子どもに[コロナを]移しちゃんじゃないかみたいな問題があって。

親戚のなかでも結構意見が二分されていて、「乳幼児期は大変で、なかなか[僕が]今できることも少ないし、向こうの実家にも負担かけちゃうから、むしろオンラインで励ますぐらいのほうがいいんだ」というような意見もあったし。それも分からないでもなかったんだけど、やっぱ実際見ないことには――子どもが生まれたっていうのは初めてだったってこともあって――実感が得られなくて、結果的に生まれた3週間後ぐらいから東京アラートが解除されたタイミングで、1度大阪に行ったんですけども。

とにかく、見た瞬間びっくりしたのが小さいという、子どもが。

charlie:
あー、臨場性だよね、それがほんとにね。

宮崎 智之:
リモートで見ると、「何何君」って言って、iPhone の画面を近付けてくれるので、大きさが分かんない。大きく見えたんですよ。それこそ昔のメディアや雑誌とかで、ほらタバコね置いて――。

charlie:
大きさ比較みたいな。

宮崎 智之:
そう、それがなかったので、あの結構立派な大きい子どもだなとか思ったら、見た瞬間「小さっ!」と思って。そういう臨場性と結構やっぱすごく・・・。

charlie:
小さい、吹けば飛びそうな子どもに触れた瞬間って、画面で見てたのと何か感覚とか捉えかたって変わりました?

宮崎 智之:
全然違いますね。里帰り出産で家事とかのサポートを受けているとはいえ、妻の大変さっていうのは会うまで分からなかった。なぜなら、あんな弱っちいものが、いつ泣くか、いつぐずるか分からないっていう状態っていうのは、オンラインでなかなか――理屈では分かっても――実際あの弱さを見ないと伝わってこないと言うか。ひとときも目が離せない状態ですよね。まだ月齢で6ヶ月なんで。

その状態ってのは見なければ分からなかったし、妻と僕のコミュニケーションも、オンラインでやるよりは実際僕が見て大変さを実感したあとのほうが良くなりましたね。

もう一つの問題が、ペットが僕のほうに預けっぱなしだったていうのもあったりして。だからペットと子どもってのはある意味臨場性そのもので、対面じゃなければ何もできないっていう、ペットと子どもっていうのは。[臨場性]そのものなので、このコロナ下で僕はどちらかと言うと対面でしかできないものにすごく悩まされ続けてた。それが物理的な接触ができない。でそれをいつしたらいいのかっていうのが、自分じゃあ判断できない。それこそ、charlie さんが振ってくれたときに仰っていたような、愛するがゆえに会いに行かないという選択もあるわけですよね。

これは多分僕じゃなくても恋愛とかの場面でも相当――。

charlie:
まあまあ、それは相似だろうな。

ミチヨちゃん、ご家族が県をまたいだところにいるっていう話だったので、でも病気とか心配じゃないですか。心配を伝える手段とかってどうしてたんですか。

ササキ ミチヨ:
えーっと、本人にってことですか?

charlie:
本人にまず伝えられたのかどうかもそうですけど。

ササキ ミチヨ:
母が入院してたんですけど、入院している間は母から連絡をもらうしかできないような状態でしたね。

charlie:
なんかそうなってくると、その臨場性の1つに「伝わったかどうかを確認する」ってすごい大きなところがあって、なんかそのへんの不安ってありました?

ササキ ミチヨ:
ありましたね。顔を見た対面じゃないと伝えきれないところっていうのはちょっと感じてた気はします。

charlie:
矢野君、まさにこれ僕ら教育しててもそうだし、このあいだ TBS スタジオであの乙武[洋匡]さんと一緒に「Session」に出たときにも言ったんですけど、僕らって授業をしながら、話をしている生徒 “じゃない” 子の反応を臨場している場でめちゃくちゃ見てるじゃないですか。伝わってるか伝わってないかって、表現しにくいですけど、絶対分かるよね。

矢野 利裕:
分かります。そういうのを感じました。ビンビンに感じながら塾やってるから、話すことだけでも言葉の意味内容だけじゃなくて、いろんな情報とともにやり取りしてるっていう。そのいろんな情報の積み重ねのなかでいろんなことを判断してるなっていうのは意識するしないに関わらずそうなので。そこが結構失われたっていう感覚は、僕は結構古い人間なので、そういうことを結構思っちゃいましたね。

charlie:
やっぱりオンラインで、例えば Zoom 授業みたいな感じでは代替できないっていう感じですか?

矢野 利裕:
代替できないっていう言いかたでもできるんですけど――これもツイキャスのときに話しましたけども、あのこの間の――オンライン授業を成立させるためにアクセスしろよってめっちゃ電話掛けたりしてるんですよ。オンライン空間を維持するためにめちゃめちゃフィジカルで奔走してたなっていう実感がめちゃめちゃあって。

オンラインだけで何かが完結したりとか成立したりするもんじゃなくて、それ以外の臨場性的な部分で維持されているっていう感覚が結構強いことですね。

charlie:
なるほどね。あの黒幕、こうやって伝える・伝わるっていうことをやっているのがラジオではあるんですけれども。いろんなフィジカルなものがあって、やっとメディアに乗っかってくる情報があって――この番組もそうだと思うんですけど――そこを制限されたときに、「これなんか、わりといけるじゃない?」みたいなところも――それこそ今日もビデオ会議でやってますけど。

今までだったらみなさんがスタジオにいて、僕だけリモートであったものが、みんなオンラインでもわりとミーティングが成立してるじゃないみたい? みたいなところがややあるとは思うんですけど、そのへんはやりにくいですか?

長谷川 裕 P(黒幕):
意外と Life の予告編のミーティング自体は――ブレストは今日も何時間がやったけど――それ自体は結構できてるなと思うんですよ。

特に charlie は今まで僕らがスタジオのなかで charlie の姿だけ見えてないっていう状況で、どこで口挟めばいいのかも分からなかったと思うし、こちらも charlie がいるのか、いないのかみたいなのも、画面もないし。分からずに勝手にこっちで進んじゃうみたいなことも結構あったので。そういう意味で言うとフラットにできるようになったなと思うんですけど。

一方で僕は今まで―― charlie はあの昔からリモートだったから参加できなかったけど――僕らはこのあと赤阪で最も安い飲み屋さんに、1人3時間で 1500 円ぐらいで飲み食いできる激安の居酒屋さんに行ってですね、そこでダベり続けていたわけですよ。

charlie:
え、知らない、それ!

長谷川 裕 P(黒幕):
実はね。その時間が今回これでなくなってるわけですよ。それぞれの家からできて非常に便利だなとは思いつつ、今後もあの時間はなしでいいのかどうかっていうところは結構・・・。このまま Zoom 飲み会に突入すべきなのかみたいなことって・・・。

宮崎 智之:
たぶん長谷川さんがおっしゃった Life のブレストはうまくいってるっていうのは、密なコミュニケーションを今までしてた前提があるメンバーだからこそできてるっていう問題はあって。これが例えば教育で言うと、新入社員だとか、新入生だとどうなるかっていう問題はかなり出てくるんじゃないかなという。これは仕事でもそうですよね。

今までやってた人とどうしてもやりがちになってる僕も、新しい案件とかっていうよりかは、意思疎通ができる編集者とよくやることが増えたかなっていう。

長谷川 裕 P(黒幕):
だから野村さんとは僕らはまだこのリモートでの打ち合わせしかしてないわけじゃないですか。そうでなければ野村さんも一緒に某激安居酒屋に行ってた可能性が結構高い感じだけど、そのことが NewsPicks さんとこのコラボレーションにも何か影響してるのかしてないのかなと考えざるを得ないみたいな。

charlie:
なんか不穏な話が飛び交っているんですが。

今回臨場性って固めの言葉を出していますけれども、今話をしてきたことからも分かる通り、例えば学校の教室や職場で、その場にいることをその場に人が存在していることで感じられたようなものっていうのもあるし、もちろんそれが例えば親しい人であれば、自分が見られてるとも思ってないようなところまで見せてしまっていることによって、相手との関係が変わっていく。例えば飲み会であれば、酔っ払って胸を開いて喋ることによって「こんなことを考えてた人なんだ」っていうふうになったりだとか、きっとそういうこともあったんだとは思うんですが。

一方でそうしたコミュニケーションがストレスだった人も当然いるわけで。年末の放送で、忘年会を 30 分で切り上げたい人が2割もいるみたいな話しましたけれども。プライベートなコミュニケーションだとか、密なコミュニケーションっていうのがオンラインになったことですっきりした人だとか。あるいは、もしかすると人と仲良くなるときにもオンラインでも結構いけるじゃない? って分かった人とか。

例えば新入生の話とかを聞いてると、1回も会ってないはずなんだけど、「なんかもう妙に仲いいです」みたいな話とか聞くと、そのクラスに僕、属してなくてよかったなってすごい思うんですけど。そういうことができる人ももしかするとこれから増えてくるかもしれないっていう気持ちもあったりします。

人間関係の問題というよりはその場にその人が存在しているっていうことが持っていた、その力ですね、それについてこのコロナと、そしてこのコロナが収束したあとどうなっていくのかという話をしていこうと思っているんですけれども。

リスナーのみなさんからもメールで募集したいと思っております。メールのテーマ、読ませてください。新型コロナウイルスの感染拡大を機に、これまで対面で行なっていたことをリモートでやる機会も多くなりました。そのなかで改めてやっぱり対面じゃないとできないなと思ったこと、また逆にむしろリモートのほうがいいかもと思ったことを教えてください。

やっぱり対面じゃないと無理だと思ったこと、それからリモートのほうがむしろ良くない? みたいな。恋人との関係は会えなくなったけれども会えないあいだ、すごい毎日 LINE とかでビデオ通話とかしてたときのほうが今までより仲良かったかも、みたいなね。そんなカップルもいるかもしれません。絶対、連絡増えた家族とか恋人いると思うんだよね。

宮崎 智之:
実家への連絡は増えましたね。

charlie:
そうそうそう。きっとそういうこともあると思うので、改めて対面の価値を感じたこと、逆にオンラインでいけるなってなったこと、そのへんのことを掘り下げながら個人的にこれからこの臨場性、つまり人がそこにいることって結局どういう意味を持つものになっていくのか。僕たち人間社会において、欠かすことのできないものだと思っていたけれども、その質とか受け取りかた、あるいはベストな形、オンラインとオフラインのミックスのありかた、いろいろ変わってくるんじゃないかと思っているので、そのへんも掘り下げてみたいなと思っております。

今回も一部はリモートでの参加ということになるかもしれませんし、また僕自身も組織の人間ですから、僕がスタジオに行けるかどうかもまだ流動的な状況という感じなので、そのへんは当日をお待ちくださいという感じなんですが。

改めて日時、6月の 28 日の 25 時、深夜1時ですね。日付変わって 29 日になってますけれども、深夜 25 時から TBS ラジオで生放送ということでお届けしたいと思っております。

文化系トークラジオ Life、予告編、こんなもんですけど、みなさん、告知とか他にないですか、大丈夫ですか? 久しぶりの予告編なんで段取り分かってないかもしれないから何か抜けてるかもしれない。

長谷川 裕 P(黒幕):
いやあのテーマに関することで、例えば僕が感じたのは、同じリモートって言ってもね、Zoom なのか、昔ながらの電話なのかとか、いろんな LINE でやりとりしたりとか、まあメールとかも含めてだけど。そういうものによっても、マクルーハンの「メディアはメッセージ」じゃないけれども、その特性って結構あって。

伝わりかたとか、感覚とか話がスムーズに、こういうときはあのメディアが使いやすいなって思ったりとかっていうこともいろいろあったりしたので。そういうあたりなんかもいろいろ感じなところがあったら、そういうこともちょっと聞いてみたいなと思ってますね。

charlie:
はい、ありがとうございます。さっき僕はメール告知してメールアドレス言ってなかったことに今気が付いたので。えっとやっぱり対面じゃないとできないなと思ったこと、むしろ逆にリモートほうがいいかもと思ったこと、教えて下さい。メールアドレスは life@tbs.co.jp です。

生放送中も受け付けてますけど、放送前にすごい大量になったりするので、整理の時間もいただきたいので早めにいただけるとすごく助かります。

ということで今月もよろしくお願いしたいと思います。

長谷川 裕 P(黒幕):
今回も前回よりは少し緩和されると思いますけれども、昔みたいにスタジオのなかでみんなぱっと来てっていうことはなかなかできないので、そういう意味でもメールを事前に[出演者の]みなさんに送っておきたいので、早めにみなさん、メール、リスナーのみなさん、いただけると、まとめて先に[出演者に]送りやすくなりますので、そのあたりもぜひよろしくお願いいたします。

charlie:
はい、ということで、予告編の締めかたとかもあんまり覚えてないですけれども、そんな文化系トークラジオ Life 。2020 年6月、このコロナ下の状況で2度目のリモート放送、リモートを交えた放送ということになるかと思います。リスナーのみなさんからのメールも受け付けながら、当日まで僕も臨場性について考えてみたいと思います。

それでは当日の生放送でお会いしましょう。さようなら。