塚越 健司:
文化系トークラジオ Life、今からは外伝 Part 2 の収録を行います。今回のテーマは『コロナ下の「新・日常」を生きる』というテーマで引き続き外伝の収録を行っています。
メンバーは本放送から――本放送のかた、みなさんお疲れさまでした――本放送から引き続き charlie さんを始めとして、みなさんいらっしゃって、この Part 2 は主に外伝から参加していただいてる――私塚越もそうですけれども――宮崎さん、はないさん、めろん先生、そして倉本さんですね。このかたがたと主にお話をしたいなって思っています。
倉本 さおり、宮崎 智之、はない ゆうた、海猫沢 めろん:
よろしく願いします。
塚越 健司:
ちょっと話がガチャッとなってしまうかもしれないんですけども、ちょっとワチャワチャとみなさんで話していけたらなというふうにも思ってます。
たくさん今日もリスナーのかたからメールをいただいたので、メールをいくつか読んでいきたいと思います。まず私のほうから読ませてください。
弁当マスターさん・男性・34歳・千葉県松戸市。「コロナ下で感じたことについて、たいしたことではないのですが時間を持て余してしまうということです。私は散歩が大好きなのですが、コロナの影響により休日は特に自宅にこもる時間が多くなり、普段より鬱鬱とした気持ちになることがコロナ以前よりも格段に多くなったように思います。そうであれば Life リスナーである私は、家でずっと読書したり映画を観ればいいじゃんと思っていたのですが、いつもよりなんだか集中できなく困ってしまいました。非常時で妙に浮き足立っているのか、時間を持て余してしまうという感じです。きっと休日に自由に外に遊びに行けたり、コロナ対応なんかをしなくて済むからこそ、普段の読書や映画鑑賞も気軽にできていたんだろうなと思います。でもこのままだとストレスが溜まるのでこの余った時間をどうしようかと、結局行き着いたのが、<ただ丁寧に生活する>ということです。なんだそりゃというような小さな解決策ですが、自分にとっては意外と効き目のある対応策でした。少し早く起きて朝ごはんを作ったり、綺麗めに掃除したり、時間も潰せるし、落ち着くし、良いこと尽くしです。みなさんの時間の使いかたを知りたいです。」
ということで、ご飯を作るようになったとかそういうかた結構いらっしゃるし、そういう話を聞くと思うので、みなさんどういう生活してるかも聞きたいなというふうに思います。
もう1つですね、ラジオネーム・モレーンさん・男性・30代・フリーエンジニアのかたです。「もともとリモート中心の働きかただったため、それほど大きな変化があるほうではありませんが、それでも人とまったく会うことなく過ごしていると、どこか虚しさを感じます。それはパソコンやスマホに映し出されているものすべてが唯一の世界との繋がりだからなのだと思います。例えて言うなら、ゲームをしている感覚でしょうか。もちろんその向こう側にいる人を想像できてはいますが、この状況が長期間続き、その感覚が希薄になったとき、どうなってしまうのか考えると恐ろしいです。そんななか、やはり自分のなかで大きいのがラジオの存在です。テレビの再放送が増えるなか、いつも通り変わらず放送が続いていることが何よりも世界との繋がりを感じさせてくれます。改めてラジオは人を感じるメディアなのだなあと実感しています。」
ということで、今日も聞いていただいたでしょうかね。そしたらありがたいなあと思う次第なんですけれども。要するに暇な時間、みなさんちょっと集中力落ちてるっていうことですが、何かありますかってことなんですけど、宮崎さんどうでしょう。
宮崎 智之:
集中できないって話は本当にまさにそうなんですよ。僕らみたいに在宅ワークに慣れてて、結構ずっと家にいるような人間ですら、もうインプットが頭に入ってこないような状況で、いきなり在宅ワークになったかたとか難しいだろうなと本当に思いますね。
僕も以前 Life でやった「頑張り迷子」じゃないですけど、突然なんか勉強してみようと思ってテキスト買っちゃったり、いろいろやったんですけど。結果何もできず、いつも通りのことをするのがいいなっていうふうに思いますね。
塚越 健司:
宮崎さん Twitter 見てる限り、犬の話しかしてないじゃないですか。
宮崎 智之:
そうそう。犬はやっぱね、犬は偉大なんですよ、ほんとに。
塚越 健司:
偉大なんですか。
宮崎 智之:
偉大っていうか最強ですね。最強生物なんですけど。なんでかっていうと、まず癒されるってことがあるでしょう。でもそれだけじゃなくて、やっぱり生活が整うんですよ。
ヤツは僕がいなきゃダメなんで――当たり前だけどね――餌もあげなくちゃいけないし、排泄を処理しなくちゃいけないし、散歩も行かなくちゃいけない。これだけでもやっぱり生活が整うんですね。
犬は外出自粛とかないですからね。僕も毎日「コロナ大変」とか言って教えてるんですけど、全然分かってないんですよ、当たり前だけど。
倉本 さおり:
当たり前だけど、なんだ!
宮崎 智之:
言ってるんだけど、やっぱね、分からないんですよ、人語が。そういうような存在がいるってことだけでも――すいません、話長くて――あと犬を散歩をするのって外出じゃないですか。でもそれを自粛するわけにいかないので。
とはいえ人混みを避けたり、普段なら広い公園に行って遊ばせたりとかするんだけど、狭い路地とかで我慢してもらうことになるわけですね。
そのぶんストレス溜まっちゃあ可哀想だから、路地を行くなりにこう結構探検っぽくしてみたりとか、あと家の遊びを工夫してみたりとか。結構ね、クリエイティブになるんですよ、意外と。工夫して犬を喜ばせなくちゃ、喜ばせなきゃっていうのは愛犬家としてだけど、動物としては少なくともストレスを解消してあげないと健康に悪いので、そのためにいかにクリエイティブに遊ばせるかっていうのをすごく頭使って、いい感じですよ。
塚越 健司:
家の中での散歩にはならないかもしんないけど容積とかも結構デカいと思っていて、その点でいうとですね、もうひとかた。リスナーのかたからのメール。男性・浜松市のかたです。
「私は住宅業界の人間です。現時点の影響としては製品の供給の遅れや連休中の展示場の閉鎖などがあります。営業面では Zoom を利用したウェブ見学会に取り組む会社も出てきました。そうした目の前の課題とは別に、ステイ・ホームは家を見直す機会になると感じています。脱都会、リノベ 、DIY とか、無拠点居住がちょっと特別な人の話だったのに対して、ステイ・ホームはすべての人が対象ですので、多くの人の家のありかたに対して意識が向くのではないかと思っています。」――ちょっと飛ばして――「日本の住宅の質を上げるために国交省、経産省、環境省が提携して省エネ・快適・健康・レジリエンスをキーワードとした家づくりを提唱しています。ステイ・ホームがこれからのいい家の定義を考えるきっかけになり、もはや都心や駅近に住む必要もないから、土地代が安くなったぶん、いい家のために投資したいと考える人も増えるのではないでしょうかと思っています。日常が切り取られたような感じというのは、まさにその通りだと思いますが、削り取られて残った部分が家のなかの日常です。出演者のみなさんは今いい家でお過ごしですか。どんな家が理想だとお考えでしょうか。」
ということで家の中の過ごしかたに続いて、そもそも家とはってことなんですけれども、めろんさんは結構お仕事的にも在宅多いと思いますけど。
海猫沢 めろん:
ずっと家ですよね。
塚越 健司:
どうですか、ちょっと。
海猫沢 めろん:
これがですね、やっぱり子どもがいる家庭のかたはみんなおっしゃってるんですけど、子どもがちっさいともう全然家でリモート・ワークとかできないよ、もう。朝から子どもにまとわりつかれてできないわけですよ。
うちもまだ小学生で、いろいろ面倒見なきゃいけないんで、気になるんですよね。うち奥さんも学生なんで、ずっと朝から勉強してて、子どもと奥さんが。俺はなんか昼に起きてくるんだけど、仕事をする空気じゃないし。
しかもこのコロナで仕事場がなくなってしまい、不動産屋に「お金がなくて換金しなきゃいけないので出てってくれ」と言われて、俺。
塚越 健司:
えー。マジかそれ。そんなことあるんだ。
海猫沢 めろん:
そんな約束で借りてたんだけど――急なときはすぐ出て行ってもらうかもしれないって、安く借りてたの。だから家にいるんだけど、2LDK ぐらいなんで3人いるとキツいですよね。
でもこれまだ熊本だから僕良くて、東京だったらたぶんコロナ離婚とかじゃないレベルです。コロナ殺人とか起こってます、本当に、ストレスで。
今 DV が増えているっていう報道があるけど、近接性みたいなのが過剰にあると、やっぱり良くないところがあって。適度な距離というのが、家でもソーシャル・ディスタンスが取れないわけですよ、家族は。家族にソーシャル・ディスタンスが必要なんですよ、ほんとは。
塚越 健司:
要するに感染を防ぐっていうことじゃなくて、その人の精神を守るために、例えば1人1つの部屋が欲しいとか――まさに本編でもね、そういう話ちょっとありましたけど――住宅事情でそういうとこもあるかなと思いますよね。
これは例えば、はないさんとかも多分仕事ご自宅になってると思うんですけれども、ご自宅にいてどうですか。
はない ゆうた:
生活を良くするっていう意味では僕は楽天ポイント全部ぶっこんで入れて冷蔵庫を買い替えたりしたけど。
宮崎 智之:
冷蔵庫ってすごい大切だよね。どれだけ入るかとか巣篭もりの決め手ですから。
はない ゆうた:
働くことで言うと、朝から会議とかあるわけですよ、リモートで。なんだけど、僕は今 1LDK で彼女と2人で住んでるんですけど、朝早い会議とかで僕だけ起きて会議やってたら、彼女が寝てたらうるさいじゃないですか。だから、「申し訳ないな」っていうのとかはやっぱりあるわけですよね。今も僕こうやってしゃべってますけど、「申し訳ない」進行形なわけですよ。
塚越 健司:
近くで寝てる人がいると。
宮崎 智之:
同棲されてたりするとね。
はない ゆうた:
だから、会社でもすごい言えることだと思っていて、何部屋もある人だったりすると、リモートも容易に可能だと思うんですよね。めちゃくちゃ働いたりっていうのができると思うんですけど。
僕も働いてて、わりとみんなそれで寛容になっていくんですけど、打ち合わせしてたら上司の画面に娘が登場するとか、というのがすごく出てきてて。「みんなで助け合い」みたいな感じにはなってますけど、完全に仕事に集中するっていうよりは、お互い家での生活っていうのを意識しながら、働き合う感じにはなってるなと思いました。
宮崎 智之:
なるほど。
塚越 健司:
それは難しいとこですよね。一方ではある程度家が見えるのはしかたないっていうことで、なし崩し的に、オープン的になっていくっていう方向もあるし。他方では、〔在宅の〕仕事ってプライベートな空間にビジネス空間が入ってくることだから、それはとっても嫌だっていうことで、まあ分かりやすくバーチャル背景とか、そういうのって見せないようにするっていうことですよね。
今なんか音声とかだと、環境音はカットして、自分の声だけ届けるっていう技術がわりと開発されていて、聞かせないことと聞かせることを分けるっていうのも技術発展としてはあるかなって思うわけなんですけど。
聞いてると、僕なんかもそうですけど、家族がいても、彼女がいても、その距離感みたいなので悩むっていうのはあるし、コロナ環境ではかなり難しいと思うんですけれども。
宮崎 智之:
結構リアルのソーシャル・ディスタンスっていうのは広がっていっているんだけど、バーチャルのソーシャル・ディスタンスがかなり縮まっていっているような感じがしてて。
僕なんかお酒やめて以来、飲み会に参加することが減ったので、そもそも三密みたいな環境ってあんまり仕事以外ではすでになかったんだけど、でも逆にリモートがデフォルトになったことによって打ち合わせどころか友だちとのおしゃべりとかも増えたんですよ。
そういうかたって意外といるんじゃないかなと思ってて、それが自分のプライベート・スペースに入ってきちゃう問題と、ソーシャル疲れ、リモート疲れみたいなのが生まれてきてるんじゃないかなっていうふうに。
塚越 健司:
そうですよね。だから考えてみると、めろん先生のように全部バーチャルにするっていうのも一つの手かも。
宮崎 智之:
みんな「バ美肉」にするってのも手ですね。
海猫沢 めろん:
いやーそれがちょっと問題が、経済的問題がなんかそこに僕は関わっている気がして。1つメールを、ちょっとそれに関わるもの〔を読みます〕。
ラジオネーム・シンクさん。「このパンデミックで思うことですが、2点あります。1つは物事が変わるスピードがあまりにも早いということです。今報道されているニュースを見ながら、このニュースを3日前の自分に伝えても信じてもらえないだろうなというレベルで事が変わってきました。緊急事態宣言で若干感染スピードが落ちているとはいえども、今のニュースを見ていると3日前のことがゆるい日々だったと思うことが何回もありました。」――で、この2つ目なんです――「2つ目はこの自粛で支出が大きく減ったことです。5月2日からコミケが開催され、本当は明日5月4日はサークル参加の日でした。しかしそのコミケも中止。コミケ参加するためには印刷費や宿泊代や買い物のために結構な予算を用意して臨んでいますが、これがなくなりました。これを考えると、これは経済を回してないんだなあというのは日々感じます。早くこのパンデミックが収束するのを願うのみです。」
たしかにすごいお金使わなくなってるんですよ、僕も。外出ないから、あんまり。だけど打ち合わせとかオンライン・イベントがすごい増えてるですよ。
僕、この前にオンライン句会っていうのをやってたんですね、9時から 12 時ぐらいまで。こういうイベントが増えるのは僕は好きだから、ちょうど熊本からだと〔東京で開催されるようなイベントには〕参加できなかったから、いいんですよ。
だけど、問題はギャラが発生しないってことなんですよ。他のいろんな仕事でも「オンラインだとギャラをちょっと安くしてください」みたいなことが何回かあったんですよ。
まだ僕は地方だから全然いいけど、オンライン、つまり情報と物質みたいなことで、僕東京にいたらこれ「来てください」って言って普通にお金が払われてたんだけど、別にやってることは変わらないんですよ。
塚越 健司:
そうですよね。
海猫沢 めろん:
ていうことはやっぱりなんか人の移動とか、リアルな物質が動くことにみんなお金を払っていて、情報にお金を払うことがまだ慣れていないような気がしていて。そうするとすべてが安くなるわけじゃないですか。
塚越 健司:
本当だったら、いわゆる足代分を出してくれってこと。
海猫沢 めろん:
そうなんですよ!
塚越 健司:
上乗せで欲しいし、あとオンラインだったら、会場 50 人しかいなくても、まあ原理上 500 人でもできるわけですよね、例えばですけどね、極論だけど。
海猫沢 めろん:
考えてみたらおかしいんですよ。交通費のぶん、もらってもいいじゃないですか。
宮崎 智之:
「お足代」とかよく言いましたよね。
海猫沢 めろん:
そうなんですよ。ところがゼロになっているんですよ、不思議なことに。
宮崎 智之:
通信代みたいなね。
塚越 健司:
Wi-Fi 代とか欲しいよね。それはもうちょっとあってもいいかもしれないですよね。たしかに。
海猫沢 めろん:
今まだ1ヶ月、2ヶ月だからみんな「まあいっか」って思ってるけど、これがほんとに続いたときに「あれ?」みたいに、「毎日俺会議してるんだけど、何にもお金が入ってない」みたいなこと、あり得るんですよね。
企業側の意識もたぶんないんでしょうね。そこにお金を払うって意識もないし、「別に電話と同じだからいいじゃん」みたいな。
塚越 健司:
「オンラインであることの身体性」と「身体」の違いって話もありましたけど、あとは仕事観っていうもののなんとなく「違うだろ」って意識があるというのは、たしかにそうかもしれない。
やっぱりまさに身体っていう物質があるかないかっていうのだけで、かなり大きく変わってると思うんですけど。
いくつか話を聞いてきたんですけれども、書評家の倉本さおりさんにも、このコロナのなかで在宅のことで何かあれば。お願いしたいと思います。小説の話でもいいんですけど。
倉本 さおり:
そうですね、まあ小説もたくさんあるんですけど、すごく個人的な話なんですけど、私、3月の末にずっと大病を患っていた父を亡くしまして。
やっぱりこのご時世なので、もう入院させてしまうと、面会ができなくなってしまうので、在宅で看取ることになったんですよね。
結果的には家族に囲まれて看取ることができたので良かったんですけども。お葬式も派手派手しいものではなくて、こじんまりとした家族葬をすることにして。式場に行ったら分かるんですけどコンパクトなんですよ。
それで好きな音楽、お寺特有の葬儀でよく流れるような音楽ではなくて、本当に好きな音楽をなんかを「iPhone とかで流していいですよ」みたいなことを言われて、父が生前好きだったと言われている曲を流したんですけど、それが「酒と男と泪と女」だったんですよ、河島英五の。よりによって「酒と男と泪と女」が棺の前で流れて、家族全員で「っていうかアンタ酒飲めないじゃん」って棺につっこんだっていう。
はない ゆうた:
飲んで飲まれてないんですね。
倉本 さおり:
飲んで飲まれてないし、女も泣かせてないタイプだったんですけど。それがずっと流れているっていうシュールなお葬式があって、もうゲラゲラ爆笑するみたいな感じで。それがなんかアットホームだったんですよね、すごく。
葬儀とかって「やらなきゃいけない」っていう慣例が進んでいくとどんどん膨らんでいって、すごく負担になってしまうものになるじゃないですか。故人が亡くなってしまって思い出に浸るためのものなのに、やらなきゃいけないことが多すぎてしまって、生活が追い込まれてしまってってなってしまうものだと思うんですけども、やっぱ非常事態だから、コンパクトにするのが通例みたいな感じになりつつあって、自分たちの生活をリサイズするいいきっかけになっている部分も少なからずあるんだろうなと思って。
塚越 健司:
そうか、お葬式っていうことで、すごいそれ自身を負担に感じちゃう、従来だったら。それに比べるといろんな意味で不幸なことはあったけれども、わりと思い出に残ったことがいい感じって〔なったわけですね〕。
倉本 さおり:
そうそう。ただでさえ家族って、親戚とか家のこととかが関わってくるから、どんどん礼儀的には「しっかりしなきゃいけない」と思えば思うほど膨らんでいっちゃって、負担になっちゃう部分もあると思うんですよね。
でもそうやってコンパクトにせざるを得なかったことによって、本当の意味での故人を悼むみたいなものが持てたなって、あとで振り返って思えたんですよね。
塚越 健司:
本編でも柳瀬さんも Zoom を使ってお葬式っていうこともお話しされてましたけれども、そういうところでコンパクトになるから、故人を悼む気持ちっていうのを確保するっていうことはできるかもしれないですね。
倉本 さおり:
もう1点あって、今度四十九日があるんですけど、四十九日が Zoom 葬儀で行われるっていう。
塚越 健司:
Zoom 四十九日。
倉本 さおり:
そうそう、父の本籍は大阪だから、お寺さんも大阪にあるんですけど、お寺さんのお坊さんが大阪のほうのおうちで、お坊さんが来て、ずっと南妙法蓮華経って言ってる様子を LINE 動画で流れてくるっていうのを、それをみんなで聞くみたいな。
塚越 健司:
結婚式もそういうのあったし、これからオンラインでできることの領域が増えていくかもしれない。そういう意味では本編から引き続き来てもらってる野村さん、野村高文さんにもちょっとお聞きしたいんですけど。
いろいろビジネスも冠婚葬祭もそうですけど、いろんな領域でオンラインでできるほうがコンパクトでいいっていうこともあることも増えると思うんですけど、その点はどうでしょう。
野村 高文:
そうですね、1番やっぱり大きいのは、オンラインでいうとリアルイベント。トーク系のイベントで、例えばカンファレンス系のものってのはほぼ今全滅になってるんですよね。
特に B to B のサービスでカンファレンスで見込み客を集めて、そこから営業するみたいな手法が主流になってるんですけど、それが今は見込み客を集めるっていうカンファレンスが全滅になっているところがあって。それをどんどんオンラインで配信していって、それを見てくれた人に営業するみたいな動きってのが出てきていて。
あと、めちゃめちゃ個人的な話していいですか。僕、このコロナが流行る前に実は家を引っ越そうと思って家を探したんですけど、コロナで前提が狂ったんですよね。完全に職住接近生活をしようと思って、できるだけオフィスに近いところをどんどん探してたんですけど。
塚越 健司:
オフィスに近いところでお家を探していたけれども――。
野村 高文:
なんですけど、東京への出勤ってのがどうなるのか分かんないじゃないですか。今切実に一番知りたいのが、東京へ出勤するっていう形態が、今後も自粛期間が終わったら元に戻るのか。それともオンラインっていう行動にわりとみなさんが慣れて、週に1回なのか月に1回なのしらないですけど、特別なときだけ来りゃいいよねってなるのか。とはいえ対面は大事だからって言って、喉元過ぎるじゃないですけど元の日常に戻っていくのかってのが、今切実に知りたいことで。そこのご意見をみなさんにうかがいたいなと思ってます。
塚越 健司:
たしかメールにもそういうお話があったと思うんですけど、どうでしょ、誰か何かご意見お聞きしたいんですけれども、いかがですか。
charlie:
今朝、今朝じゃない昨日の朝かな、「東京から離れる意向のある人がどのぐらいいるか」っていう調査をしたデータがあったんですけど――ちょっとうろ覚えで申し訳ないですけど――「動く」って言ってる人あんまりなくって、ただ 30 代 40 代の子育て層で「動いてもいいかも」みたいな意向はちょっとあるかなぐらいで。「どちらかというと東京は嫌だけどでもまあ動かないよね」みたいなのが短期的にはデータとしては出てたようです。
ただこれも短期的な話なので、もしかすると長期に続いていくってなったら、「これから家を買うのに都心のタワマンじゃないよね」っとかっていうふうに長期的に変わっていく可能性は十分あるかなというのが1つと、もう1つは、「じゃあ都心に住まなかったら便利なのか」っていうことについて、これからの選択だと思っていて。
要するに居住環境、家のなかが密だとなかなかプライベート・ゾーンを確保できないっていう話がありましたけれども、たぶん都心に住むか郊外に住むかじゃなくて、リモート・ワークに対応した家が作りやすい土地に安く買って、自分のカスタマイズで建てるのか、それとも違う選択肢をとるのかっていう選択なので、これたぶん既存の物件で売ってないじゃないですか。
なのでそれこそ建築士の人とかと繋がりがあって、土地もあって、とかっていう人を除けば、急にそういう動きかたはできないので、住宅メーカーが長い時間を掛けてなのかも分からないけど、そういう対応をした、昔でいうと二世帯住宅みたいな新しいタイプの住宅を売り始めてからが本格的な市場かなという気がしています。
塚越 健司:
ありがとうございます。
1つリスナーのかたからこういうメールが来てきていて。ラジオネーム・コウガイコウザンさんからいただいています。「このウイルス騒ぎで強く再認識しているのは、通勤電車はマジでクソ。在宅ワーク最高。多摩地区から湘南・藤沢地区に移住したんですが、住む地域は最高。でも都心への通勤が精神も肉体も蝕んでいくのを実感していました。東海道線の混みかたと長さは鬱増産機だと思います。選んで移住したんだろうという自己責任論は受け付けません。都心じゃないと仕事がないのは地方過疎化とも根が同じ問題だと思います。管理職ですが、もともと在宅で仕事したいと夢を見ていた。絶対あり得ないことなんだと思っていました。とにかく『監視をしたい』『そこに居ることがすべて』という会社が多いです。要するに作業員のことは信用していないということですよ。しかしここにきてオール・リモートの仕事にありつけたことで、ストレスがものすごい勢いで減っているのを感じます。経理の仕事なんてどこもそんなに変わりないです。『日本は請求書が紙でやりとりされるので在宅はできない』とかいう企業も多いですが、全員在宅にできている環境を経験すると、やっぱり全部、あれ言い訳だったんじゃないかという怒りすら感じています。行き帰りの通勤時間、ざっと2時間半分が浮いています。素晴らしいです。」
ということでいくつかいただいたんですけど、こういうお話もいただいているんですね。
住んで実際にやってみて、この人は結構体に合っていた、やっぱり良かったっていうふうに思ってることですけど。
ちょっと住宅関係の話、速水さんに今の話とかリスナーさんのメールの話から聞いてみたいんですけど、いかがでしょう、速水さん。
速水 健朗:
海外では別荘がすごい売れていて、日本でも実は別荘地が、というか不動産が動いてるらしいんですよ、全然想像つかないんだけど。なんでこんな時期にみんな不動産を買うのか。このタイミングで買おうとしてる人たちがいるって言う話。
みんな結構言ってるのは、都市から離れようとしている人たちが増えていくんじゃないかって予測が多いけど、そこに関しては Uber Eats とか、デリバリーとかができるの都市部だからっていう都市の再評価と、そこのどっちとも言い難い部分があり、その中間が売れているっていうことはあり得るかなって気はしてます。
塚越 健司:
中間っていうと?
速水 健朗:
都市郊外のリゾート地。
塚越 健司:
具体的に場所でいうとどういう感じのところ?
速水 健朗:
今でいうと伊豆、房総。ちょっと高いけど鎌倉・逗子みたいなところはやっぱり注目されているし。あんまり離れちゃうと都市機能としてコンビニとか人手不足とかも明確なので。
生活インフラが維持できなくなっているところは、〔都市郊外リゾート地への移住が〕さらに加速するのはたしかかなっていう。
塚越 健司:
そうかそうか。
charlie:
速水さん速水さん、charlie です。今の話の流れでいうと、やっぱり需給のバランスってあると思っていて、そうした都市郊外リゾート地って供給が少ないというか、それなりに金出して、それなりに動ける奴しかいないから快適みたいなところがありますよね。
もう都市部の過密なんか嫌なんだっていう人が、今までよりもちょっと市場が広がるだけで需給が逼迫(ひっぱく)する可能性ってないんですか。
速水 健朗:
それは買い物とかってこと?
charlie:
いや、完全に家がなくて、ちょっと前だったら逗子でも、無理すればサラリーマン世帯でも買えたのに、みたいなことが、もともと供給量が少ないので、住宅もそうだし、土地もそうだし、単純に快適に過ごせるキャパみたいなものですよね。
京都と一緒で、最近「郊外に住む人が増えてすごい不愉快になってきたな、郊外も」みたいな。
速水 健朗:
今の話だと分かんなかったのが、住宅供給はたぶん結構ダブついてるところの話なのかな。例えば鎌倉だとそもそも少ないけど、千葉の房総とかめちゃめちゃ空き家も多くて、バブル期のリゾートマンションとか二束三文だったりするようなところって、そこそこ住んでいくには楽なスーパーもあるし飲食店もあるし。まあ Uber Eats はないけどね、みたいな感じのレベルかなって。
そのくらいだったら都市生活を維持できるけど、そっから先の田舎になるとできないのかなっていう。
charlie:
ギリギリ都市圏に引っかかってる郊外で多少リゾートっぽいところに移住しようと思ったらば、まだ余裕があるので「買い」だって感じですか。
速水 健朗:
全般的に中間層が落ちると、引っ越すときに今の家賃を払えなくなると人たちっていうのが大量に出てくるので全般的に下がるし、そこに住める人たちっていう格差が開いていくだろうね。
charlie:
格差っていうのは、どことどこの格差が開くんですか。都市部と郊外、それとも都市内?
速水 健朗:
「買い替えできる人たち、借り換えできる人たち」っていうのと、「物理的にそこに住めなくなって手放す人たち」がはっきり明確に出るということ。
宮崎 智之:
速水さんに伺いたいのが、モビリティー面での変化ってのは起きるのかなと思っていて。
例えば僕なんか東京に住んでいて、車を持つ必要性を一度も感じたことがなかったし、維持費とか駐車場代とか考えれば馬鹿らしいだろうっていうふうに思ったんですけど、結局人と接しないで移動するのが車が最強じゃないですか。
もちろん地方に住むという選択肢をするかたが増えたとしたらそれは車もやはりセットになってくる話だと思うんですけども、車の市場とかって、そんなに今のところ変化はないんですかね。
速水 健朗:
まさに先週、モーター・ジャーナリストの人とそういう話を Zoom でちょっと話をしたんだけど、現状数字として出てきてるものは本当に――新車ほとんど生産してないので――とりあえず車業界もやばくて。
みんなとりあえず契約切れて、大量にやっぱり。事実上のレイオフが行われているのがたしかなんだけど、アメリカでは大手のレンタカー会社が潰れましたっていうのが出てきていて。シェアは分からないですけど、レンタカーに関して観光なので、いわゆるレンタカー市場はかなり打撃を受ける。
けど本当必需品としての車っていうのはある程度――レンタカーって人が乗ったものって今乗れないみたいな心理的なところがあって、それでシェアって結構ダメージを受ける可能性があるって言いかたをしていて。
そうなった場合、高級新車は分からないけど、これからあとガソリンが安いので普通に EV の流れがちょっと一旦止まるかもしれないっていう言いかたをしていたけど、安い車っていうのは必需品としてこれからの産業としては落とさないでいけるかもしれない。
でも車ジャーナリストも、車業界がこれからどうなるかが、生産業のなかで一番分からない。〔まず〕投機はダメだよねって言ってた。
宮崎 智之:
小回りの効く軽自動車とかね――。
海猫沢 めろん:
僕の周りで2人ぐらい中古車を買った奴がいるんですよ、この2週間くらいで。それも安いやつで、20 万とかの車を買ってるんですよね。中古車市場はあるかもしれないですよね。
僕もこっちの地方で車持ってないんですけど、カーシェアを使ってたんですけど、カーシェアが今怖くて使えないんですよね。コロナが分かんないじゃないですか、誰が使ってるか。ちょっと欲しい〔車〕っての今ありますよ、安いもので。
塚越 健司:
都市と地方とか、車の移動の話とかも出ているんですけれども、無茶振りかもしれないですけど、神里さんにも今ここで話してきた論点で思ってることあればお話しいただきたいですけど、どうでしょう。
神里 達博:
すごい個人的な話をすると、実は私もここのところ毎週のように家探しをしてます。自分の家の事情でちょっとそういうことがあったんですけれども。
そのなかで面白かったのは、もうすでに「この住宅はリモートの仕事にちょうどぴったりです」ってことを早くも書いてる不動産屋さんがありました。
海猫沢 めろん:
どういうところなんです?
宮崎 智之:
間取りとかですか?
神里 達博:
間取りです。小さい部屋が結構いっぱいあるから、っていうことでした。
あともう1つ、また個人的なことなんですけど、私実家が藤沢で、鵠沼(くげぬま)海岸なんですね。だから鵠沼海岸から東海道線に乗って通うってのはものすごく辛いことだっていうのは自分が昔ちょっとやっていたので、混みすぎるってのはよく分かる。
リモートの話が Charlie がおっしゃっていたように、需給関係がすべてっていうところがあって、少なくとも鵠沼海岸とか、藤沢の南のほうですが、あっちはずっと人が増えているんですね。ずっと混んでいってるので。
供給もあるし人も増えててサーフィンが週末にはできるけれども、東京に通えるみたいな感じのものは、ここ 10 年 20 年ずっと人気が続いているので、そういう意味ではこの流れはさらに加速する可能性はあるのかなというふうには、なんとなく個人的には感じています。
すいません、すごいローカルで個人的な話しかコメントできないです。以上です。
塚越 健司:
コロナ騒動ってこの2ヶ月とか、3ヶ月とかですけれども、これが半年になったときに、その需給のバランスがどう変わるかも分からない。その定点観測って言ったらあれですけれども、どの時期にどうなるかっていうのも、気になる。
charlie:
時期もそうだし、供給がね、そもそも今建設とか止まってるんで。あそこ止めてるのがかなりが雇用への影響もでかいんですけど。
要するにどこの経済指標でも住宅着工件数って結構、経済指標としても大きいので、ここが今止まってるのをどういう形でどうやって再開させるのって話も多分重要になってくる。
住宅絡みで言うと、住宅を建てるとこもそうなんですけど、中の建て付け、例えばトイレの便器とかが中国から入ってこないみたいなことで結構ビル建設が止まったりしてて。結構そういう物流のところの滞りで供給がうまくいかないみたいなのは十分ありうる。それは他の製造業全般そうなんですけど。物、止まっちゃってるので、ライン動かそうにも、側はできてるけどトイレの便器だけないというのが十分あり得ます。
宮崎 智之:
今 Twitter でカシヤマさんってかたが、「キャンピングカーとかも売れたりしそうだ」っていうふうに言ったりしてるんですけれども。たしかに、車のなかで仕事が快適にできるっていう状態は最強ではありますね。
charlie:
キャンピングカーは去年ぐらいまでめちゃくちゃブームだったので、アメリカでも日本でも。キャンピングカー・ブームで逆に一回吐けているんじゃないかと思っていて、在庫が。今から急に増やせないんじゃないかな。
宮崎 智之:
これは笑い話じゃないんだけど、僕の知り合いで外回りの営業をしてる友だちがいるんですけど、「車内待機」っていうふうに言われてるらしいんですよ、会社から。
車内ってのは「<会社>の中」ではなく「<車>の中」で待機する。で、車の中で仕事をして、――今は新規の営業は少ないですけど――既存のお客さまから電話が掛かってきたら行けと、そこに。
もちろんインターネットも使えますから、車の中で、スマホとか利用すれば。そういうような感じになってるって話を聞いて、先ほど神里先生が住宅がリモート向きって売り出しかたになってるっておっしゃってましたけど、車もリモート・オフィス向き車とかね、そういうふうに開発してきたらどうなんだろうなって思いますけどね。
塚越 健司:
だから、あなた専用のお部屋っていう位置付けの何か商品――車も含めて――っていうのはあるかもしれない。
ちょっといい時間になったので、ここで一旦切って、Part 3 でまたもう少しみなさんのもっといろんな話聞きたいかなと思います。
ここで一旦外伝 Part 2、ここまでにします。
〔外伝 Part 2はここまで〕